弔い屋の友人

私の友人は死人を弔う事を生業としていた
彼は人間の本質を嫌という程に見てきた
彼はある日、自身の命を絶ったのだ

彼の口癖を良く覚えている

「肉は虫に喰われ、骨が風に削られようとも、人は人の心に残る」

私は彼の墓の前で呟いた

「人の心に残って満足なら死んでさぞかし救われた事だろう。お前は生業を捨てる事もできず、人の本質を認める事もできず、死に逃げたのだ」

言い終えて墓石を蹴り倒すとすぐに人が飛んで来て私は墓から追い出された

私は彼の事を忘れたかったが、私が死ぬまでに彼が私の記憶から消える事はなかった