ある物書きの葛藤


『おい、お前』

「何だ?」

『お前物書きなんだろ?』

「ああ、一応な」

『恋愛の話、犯罪の話、親子の話、未来の話、戦争の話、病気の話、道徳の話・・・随分色々と書いたな』

「ああ、書いた」

『もう書くんじゃねぇよ』

「何故だ?」

『軽率なんだよ、お前自身は何も出来ないクセに』

「何も出来ないけど・・・書けるだろ?」

『そんなの屁理屈だね』

「屁理屈でも良いさ、書いてやる。今回の事もな」

『そんな事したって俺は消えないぞ?』

「良いさ、好きにしろよ。どうせ俺には書く事しかできないんだ」