「この瓶の中身を摂取したものは1週間程で死に至ります」

ズキズキ痛む頭を押えながら財布の中を確認して溜め息をひとつ。


かなり使ったなぁ・・・ええと、飲み屋を出て、上司の愚痴と吐しゃ物をぶちまけながらタクシー乗り場へ向かって、

ソファーの上に転がっていたあの瓶は道で拾ったのだろうか、それともどこかで購入したのだろうか。

いや、それより瓶の中身は何なのだろう、液体のようだが本物の毒物?

・・・そんな訳ないか。瓶の形状からして中身は栄養ドリンクのジョークグッズか何かだろう。

キャップを捻るとプシュッっと小気味良い音がした。ほら、やっぱり栄養ドリンクだ。

二日酔いには丁度良いと思ってキャップを取り払うと急に目と鼻に激痛が走った。

「これはマズイ!」

そう思って慌てて蓋を閉め、水道水で目鼻を洗う。3、40分も洗い続けてようやく目が開けられるようになると、すぐに救急車を呼んだ。

救急車で運ばれながら事情を説明し、瓶を預かってもらう。

病院に到着して検査をしてもらい、その日は入院する事になった。なにせ涙と鼻水が止まるのに丸1日かかったのだ。

そして次の日、私の目鼻や瓶の検査結果が伝えられた。

私の目鼻は2、3日中に回復、原因は追って検査してみないと分からない。

そして瓶におかしな部分はなく中身は完全にからっぽだったそうだ。


あの一瞬で瓶いっぱいの液体が完全に気化したとでもいうのか?

そうだとしたら私のまわりに住んでる人は無事なのだろうか?


だがそんな事よりも、私は自分の命があと1週間で終わり、またそれまでにまともな検査結果も出ない事を何故か確信し、絶望してた。