朝の5時に起きてみた

ある朝、

僕が目覚める数分前に太陽が昇り、僕の為に光を注いでくれた。
僕を起す為にニワトリが鳴く。

顔を洗おうと蛇口を捻ると驚くほど冷たい水が流れた。
その水は僕の頭をキンと冷やしてくれた。

家を出るとまだ朝靄のかかった空気が肺を満たしてくれた。
胸の中が水を撒いたように透き通るのを感じた。

暫く歩くと畑に野菜が生っていた。
昨夜の雨に晒されて美味しく輝く野菜をかじりながらもう少し歩く。

僕が家に帰るまでの間、太陽はずっと後を着いてきて
僕の体を暖め続けてくれた。

珍しく早起きしてそろそろ眠くなってきた僕の為に
太陽は沈む準備を始めてくれる。

真っ赤に染まった空を眺めながら煙草をふかす。
歯を磨きながら今日一日の事をぼんやり思い出す。

僕は布団に入りながら思った。
「世界はこんなにも僕の為に尽くしてくれてたのか」

太陽が僕の影に隠れた頃、僕は寝息を立てていた。