風来坊

居着いた町に慣れてしまえば

捨て去る事に拘って

草鞋を踏みしめ土を固めて

未練たっぷりに元居た町を眺める

「また何もかも失くすなぁ」

それでも一歩一歩町を離れ

ふっと笑って放浪の旅へ

背負うのは一人分の荷物とその内消え去る想い出だけ

「こんな事ぁいつもの事よ、俺は天下の風来坊」


明るい月が照らす道に犬の遠吠えが良く響いた