無神論者、神が宿る場所を知る

貴方の「心」は、「身体」は、完全に貴方の思い通りになりますか?

私はなりません。

私の心身は、私が頭で理解している事を拒絶する事があります。


誰もが自分の物だと思っている「心」や「身体」や「魂」は

本当は一体誰の物なのでしょう?

「誰も居ない世界に行きたい」

目が覚めると、自分しか居なくなっていた。

まずは「自分しか居ない」という現実を認識するのに数時間を要した。
が、それでも完全に受け止めるには至らない。理由は後記する。

そして、それを認識すると丸1日経たない内に孤独感に襲われる。
日が落ちなければ寝る事も、飯を食う事さえ忘れてしまいそうな強烈なものだ。
これは「寂しい」とかそんな甘ったるいものではない。
きっと種の存続の危機における生物としての本能なのだろう。

毎日異性を捜し彷徨う。
こんな状況に陥ったら「とにかく他人が恋しい」気持ちになると思っていたが、異性の事しか考えられない。
人恋しいなんて気持ちになったのは、他人を見付けるのを諦め始めてようやくだ。


それはともかく、まともな思考が戻ると同時に現状への疑問が湧いてくる。

1.何故他の者が居なくなったか
2.何故自分は残されたのか
3.本当に自分しか居ないのか
等である。

1.2.については幾ら考えてみた所で答えが出る筈も無い。
正解を確かめようが無いから予想の範疇を越える事がない


だが問題は「3.本当に自分しか居ないのか」、言い換えるなら「本当は周りに他人がいるんじゃないか?」という懐疑だ。

もし自分の脳に欠陥が出来、自分以外の個を認識できないのだとしたら、、、
また、自分以外の全員がこちらから認識できないように巧妙に姿を消しているのだとしたら、、、

こんな事を考え始めると疑心暗鬼であっという間にノイローゼだ。
先ほど「自分しか居ないという現実を完全に受け止めるには至らない」と書いたのはこの為である。

私は誰も居ない世界で他人の影に怯えきって衰弱してゆく。
気が付くと何の前触れも無く癇癪を起こし「本当は皆居るんだろぉおおおおおおおおおおッ!?」などと叫んで暴れ回っていたりする。
死ぬ間際には「誰も居ない世界に行きたい」とか訳の分からない事を呟きながら泣いているかもしれない。

おわり。

「この瓶の中身を摂取したものは1週間程で死に至ります」

ズキズキ痛む頭を押えながら財布の中を確認して溜め息をひとつ。


かなり使ったなぁ・・・ええと、飲み屋を出て、上司の愚痴と吐しゃ物をぶちまけながらタクシー乗り場へ向かって、

ソファーの上に転がっていたあの瓶は道で拾ったのだろうか、それともどこかで購入したのだろうか。

いや、それより瓶の中身は何なのだろう、液体のようだが本物の毒物?

・・・そんな訳ないか。瓶の形状からして中身は栄養ドリンクのジョークグッズか何かだろう。

キャップを捻るとプシュッっと小気味良い音がした。ほら、やっぱり栄養ドリンクだ。

二日酔いには丁度良いと思ってキャップを取り払うと急に目と鼻に激痛が走った。

「これはマズイ!」

そう思って慌てて蓋を閉め、水道水で目鼻を洗う。3、40分も洗い続けてようやく目が開けられるようになると、すぐに救急車を呼んだ。

救急車で運ばれながら事情を説明し、瓶を預かってもらう。

病院に到着して検査をしてもらい、その日は入院する事になった。なにせ涙と鼻水が止まるのに丸1日かかったのだ。

そして次の日、私の目鼻や瓶の検査結果が伝えられた。

私の目鼻は2、3日中に回復、原因は追って検査してみないと分からない。

そして瓶におかしな部分はなく中身は完全にからっぽだったそうだ。


あの一瞬で瓶いっぱいの液体が完全に気化したとでもいうのか?

そうだとしたら私のまわりに住んでる人は無事なのだろうか?


だがそんな事よりも、私は自分の命があと1週間で終わり、またそれまでにまともな検査結果も出ない事を何故か確信し、絶望してた。

わーわわー

わーわわー わいわーわーわー わわーわわー
わわー わいわいわー わーわわわー わー
わいわわわー わいわー わわいわーわー
わー わわわわー わいわーわいわわいわー
わわーいわーわわわー いわわわーわわいわー